シルクロード紀行(番外編)

 シルクロードを旅し、気が付いたこと、気になったこと、面白かったことなどを思いつくまま、箇条書きで記す。


【中国のトイレ事情】・・・以前から中国のトイレのひどさは誰もが感じたことだが、今回の旅行で印象が一変した。習近平が『トイレ革命』を提唱したことは知っていたが、これほど徹底されるとは思わなかった。田舎の公衆トイレも見違えるほど改善されており、しかも、トイレには5星、4星等表示されていた。しかもすべてのトイレが無料だった。


【中国の少数民族政策】・・・甘粛省の柳園から新疆のトルファンまで高速列車に乗ったが、駅に入る前とプラットフォーム入場前の2回、パスポートチェックと荷物検査があった。日本の空港よりも厳しい。トルファン到着後は駅から公安の詰め所に連れて行かれ、パスポートの写真と本人をスマホで撮り、画像を合わせて確認。ホテルでも同様のチェックをされた。また、観光予定スケジュールも提出させられる。ウルムチからイーニンまでの高速列車でも同様のチェックがあった。
 カザフスタンとの国境では、中国を出国する通常の手続き以外に日本の自宅の電話番号や前日泊まったホテルの部屋番号の記入も強要された。これらは不穏分子が出国するのを阻止するためか?
 トルファンのバザールに入る際、パスポートのチェックをされる、よく見ると中国人(もちろん少数民族も)にもIDカードのチェックがある。バザール内では持ち回りなのか自警団の様な組織があり、パトロールをしていた。しかし、あまり熱心な感じはしなかった。
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 たまたま月曜日の朝にトルファンの公園で目撃したことだが、国旗掲揚と国歌斉唱の集会があった。参加者はウイグル族など少数民族のようだった。小学校や中学校ならわかるが、毎週、大の大人が集まる。建前は強制ではないが・・・・参加しなければ、陰に陽に不利益を被るらしい。
  新疆の町は普通に特警の装甲車が走っている。暴動があっても報道をされないため、頻発しているのか、どうかは分からない。しかし、少数民族の人にとっては鬱陶しいことだろう。それとパスポートチェックなどを見ていると漢族だけでなく明らかに少数民族も係官として業務している。これは少数民族自身を分断させるためかと勘繰ってしまう。
  新疆の少数民族は主としてイスラム教徒が多い。彼らが通うモスクのドームの上には新月(イスラム教は3番目の新しい宗教との意味があるとか)が飾られているのが普通だ。しかし、最近は新月のモニュメントを取り除き別の意味のないものに取り換えさせている。新月は民族心を高めるというのが理由らしい。
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 いずれにしてもこのように上から押さえつけるような政策には首をかしげざるを得ない。
 余談だが、バザールの肉屋などは包丁が鎖で調理台に繋がれて自由に持ち出せないようになっていた。食堂の調理場なども同様らしい。以前から新疆の英吉は刃物、特にナイフの特産地でありお土産などに購入する人がいたが、今はどうなったかは聞いていない。


【言語について】・・・トルコの建国の父ケマル・アタチュルクはアラビア文字からアルファベット表記に変更したがその際、トルコ語を昔のトルコ語に戻した。その結果、中国のウイグル族やカザフスタン、ウズベキスタンなどのトルコ系民族とはトルコ語で意思の疎通ができるという。中央アジアの国々は旧ソ連時代にはロシア語とキリル文字を強制された。ソ連崩壊とともに独立を果たしたが、ウズベキスタンやトルクメニスタンと同様にカザフスタンもキリル文字からラテン文字への変更を進めてロシア離れをはかっている。ただ、言葉は70年の歳月により一気に変更は難しいが、民族主義の高揚で独自言語の復活をはかりたいようだ。


【一帯一路】・・・習近平が提唱している『中華の夢』実現の一手段か。中国のインフラは中央アジア諸国と比べると雲泥の差である。片側4車線の道路があるにもかかわらず、現在、並行した道路を新たに建設中だ。やはり国力の差がありありとわかる。カザフスタンの道路は夏の灼熱に対する対策でコンクリート製だ。キルギス道路はなんか頼りない感じだ。ウズベキスタンも中国の道路と比べるとイマイチという感じ。

中国の道路建設状況
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 ある報道で見たが、米国のシンクタンクが、借金返済が困難になる恐れのある8か国を指摘していた。キルギスやラオスもその8か国の中にあった。すでにギリシャのピレウス港やスリランカのコロンボ港などが中国と99年の租借の条約を結んでいる。過度な依存は心配。
 

【トルコの政情】・・・トルコのイスタンブールを見ていると西欧諸国と変わらないようなバーやレストランが並びトルコの『世俗主義』を象徴する風景だ。これは初代大統領のアタチュルクが掲げ、世俗主義は1923年建国以来の国是とされてきた。しかし、現エルドアン大統領は逆にイスラム色を強め、女性はスカーフで覆って大学や官公庁に通えるよう、憲法改正などを実現してきた。イスラム色の濃い政策には、旧来のエリート層から強い反発がある。しかし、行き過ぎた西欧化に反発する人や保守派の人達が支持している。今年の6月24日に大統領選挙が行われるが、トルコのガイドによると当選の確立は五分五分で拮抗しているそうだ。
 6年前にトルコを旅行したが、今回のように黒づくめの衣装で目だけ出している女性は見なかったように思う。それとスカーフで髪の毛を隠している女性が増えた感じがする。
 地政学的にもトルコを巡る環境はクルド人問題やシリアの内戦を巡り非常に難しい状況だ。やはり、彼の様な強権的な政治ができる人物が必要なのかもしれない。
 因みにトルコはG20の一員でもある。トルコリラの高値は2007年に1トルコリラ96円で最安値は2018年5月の22円である。日本人にとってトルコリラの使い勝手はよかった。


【チューリップ等】・・・チューリップの原産地はトルコと思っていたが、実は中央アジアからトルコにかけての地域が原産地だ。原種は発芽して8年を経過して初めて花を咲かせるという。赤色と黄色そして白色がある。原種は小さくて貧弱な感じがするが、主として砂漠地帯に生えているので十分な栄養がないのかもしれない。
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一方、ポピーも中国西部からイタリアまで花が咲き続けていた。中央アジアやトルコ、バルカン諸国まで、休耕田の様な土地はまさに絨毯を敷き詰めたような感じであった。
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 ニセアカシア(槐)の花も中国からイタリアまで満開であった。日本と違い花がたわわに咲いて枝が垂れ下がるような感じであった。養蜂業者がミツバチの箱を置いて採蜜をしているのも何処も同じ風景。


【世界遺産】・・・国により世界遺産に対する考えが違うのか、保存や保護に大きな違いがある。特に経済的な余裕がない国はおざなりな感じがする。キルギスを見ていると心配になる。
『アク・ベシム遺跡』には世界遺産の標識があるが、遺跡を守るべき囲いもなく、羊の放牧など自由になされていた。また、土を固めた遺跡のため、雨が降るとどんどん崩れる恐れがある。  

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【イスラム教国】・・・今回の旅行で多くのイスラム教の国を旅した。イスラム教は日本人と遠い存在で理解も少ないと思う。特にイランはなんとなく怖い国という人がいるのも事実だ。イランの体制は大統領の上に宗教指導者がいる理解に苦しむシステム。イラン人に言わせると宗教指導者の関与が多すぎて弊害があるという。また、宗教指導者のコネがなければ何事もうまく進まないという。しかし個人レベルではイスラムの戒律を守っている人は少なく、1か月ある断食等守る人は少数とか。たまたま、ガイドをしてくれたAさんは6月から9月まで親戚がいるカナダに出かけ移民ができるか検討すると言っていた。やはり自由がないのかもしれない。
 イスラム教を大別するとシーア派とスンニ派がある。イランはシーア派の代表だ。シーア派は1日3回、スンニ派は5回の礼拝が必要。モスクから聞こえてくるアザーン(礼拝への呼びかけ)はイランでは比較的ボリュームを落とし静かな感じがしたが、トルコはこれでもかという感じだった。中央アジアの国はスンニ派だが、旧ソ連時代に宗教はアヘンとして禁じていたため、今はあまり熱心な信者はいない。
 イスラム教徒が結婚する場合は事前に離婚時の慰謝料の額を決め、契約する。不履行などの契約違反があればそれなりの処罰を受けるそうだ。80年代に大勢のイラン人がビザなしで日本にやって来て、日本女性と結婚した。その際、何も知らない日本女性に慰謝料としてバラの花束を贈るなどと契約した不埒な輩がいたそうだ。これは余談。
 

【EUの労働法】・・・東アジアや中央アジア、トルコなどのバスの運転手の労働時間管理と比べEUは非常に厳しいと感じた。EU以外の国は、連続運転は特に問題にならなかったし、話題にもならなかった。EU加盟国に入った途端、運転手は一定時間走った後は必ず休憩を要求する。走った時間にもよるが、15分の時もあれば30分の時もあった。この制度そのものは正しいが、もう少しで目的地につく場合は、少しくらい融通を利かせられないかと思った。
 3,4年前にドイツのフランクフルトで成田行きのルフトハンザ機に搭乗したが、点検のため4時間ばかり遅れた。結局、その飛行機はパイロットの勤務時間がオーバーするということでフライトせず、フランクフルトで1泊することになった。その時は当然、空港のホテル(シェラトン)に宿泊した。サービスを受ける者と提供するものの違いを感じる。


【公務員の賄賂】・・・今回の旅行でマケドニアからアルバニアに入国する際、麻薬の有無の検査としてアルバニアの係官がバスをガレージに誘導した。バスの運転手も心得たもので掌に何がしかの紙幣を四つ折りにして係官に握手したのを目撃した。途上国は多かれ少なかれこのような話しを聞くが、実際に目にすると気分のいいものではない。
  同行の人からの伝聞だが、かつて、カザフスタンを旅行した時、入国時にスタンプを押されなかったが、気にせず同国で過ごし、出国時に入国のスタンプが押されていないということで罰金を科されたそうだ。これは賄賂ではないが、悪く勘繰ればグループで罰金を山分けかとも思った。

 このガレージで麻薬云々と賄賂を要求される 同じ被害にあったと思われる人たち
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【EU加盟とユーロ】・・・イギリスはEUに加盟していたが、国民投票を実施し離脱を決めた。バルカン諸国の一部やトルコは加盟を希望している。クロアチアは加盟国だがユーロは使用せず独自通貨クーネを使用。EUに未加盟なのにユーロを使っているのはモンテネグロやバチカンなどがある。EU加盟を希望しているバルカン諸国は自国の安全保障のためかと思われる。また、ギリシャを見ているとユーロでなく、以前の通貨ドラクマを使っていれば思い切って通貨切り下げ等、ユーロの通貨政策とは別の選択肢があったと思う。


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2011年秋に完全リタイアー。現在は毎日が日曜日の素浪人。そして地球の何処かを徘徊中。

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